2008/03
2008/03/30(日) 間もなく3月が終わる。5月向けの原稿に大わらわ。この土日は二日とも午前4時就寝。成果は、約23ページ。原稿用紙にして約100枚強の分量。モチーフは、ヒルダの大学生活でのイベント。彼女を主人公にした全作『星の翼』ではまだ高校1年生、15歳から16歳の少女でしかなかった彼女が、原作に登場する20歳のヒルダになるまでの過渡期……と言ってもほとんど原作に近いレベルにまで成長しているヒルダを描くことになった。メイン・モチーフは、実は『星の翼』第3章で使う予定だった、大学の学部統廃合事件で、サイド・モチーフとして、先日入手した『戦争の経済学』に基づく、『戦争は経済学的に見て是なりや、非なりや』論。『星の翼』に引き続いてビジネス・スクール流ディスカッション・ベースの講義風景を点描する。ゲスト・キャラクターとしてオイゲン・リヒター氏。オリジナル・キャラクターとして、ジークムント&ジークリンデ・アウフシュナイター兄妹。アウフシュナイター兄妹は、まだ設定が曖昧で、ゲルタのようにオリジナル・キャラクターとしてストーリーを引っ張っていく力は残念ながらまだ持っていない。
『戦争の経済学』は、まだやっと半分を読んだ程度だし、理解度は50%行っていないだろうから、これをサイド・モチーフにするのはかなりの冒険になる。一つ間違うと、謀略と政治と経済の歪みだけを延々描き続ける、極く極く少数の好事家だけが喜ぶような怪しげな内容になりかねない。踏みとどまれたかどうか自信はないが。
仮の題は『地の絆』として『星の翼』と対照させることにする。今回は、シュミットバウアー三部作を読んでいる人だけにターゲットを絞った内容になっていくのは、今の時点でどうしようもない。神々の黄昏からバーミリオン会戦への部分を描いていきたいという内的衝動はあるにしても、それを支えるだけの妄想も構想も、今の時点では存在しないので。
これ以外に、ラインハルトとキルヒアイス15歳のエピソード、『木漏れ日と遠き日』の帝国暦489年9月21日朝のエピソードと、更にフロイデン山荘での「嵐の山荘事件」、および、「春は未だ……」エピソードを加えるつもりだが、全体で100ページ弱になりかねない。懸念は、あと3習慣程度の間に、この長さで十分に物語として熟成させ得るかどうか。場合により、再考が必要になるだろう。
2008/03/17(月) ランチェスター法則にからんで納得できないとすれば、『バーミリオン会戦』だろう。帝国軍兵力1万8860隻に対するに、同盟軍1万6420隻。ラインハルトは24段の『機動式縦深』によってヤンを迎撃したとある……が、24段の内、何段がヤンの迎撃に参加していたのか。仮に半数の12段が迎撃し、残りの12段が待機していたとする。その兵力差は、16対9。ランチェスター法則の戦力二乗差は、256対81。ラインハルト艦隊の迎撃部隊が全滅するまで戦ったとすると、ヤン艦隊の残存兵力1万3千に対して、ラインハルト艦隊は9千となる。ラインハルト艦隊は、左右に展開する待機部隊を次々にスライドさせて迎撃に投入するどころか、その第1段階を終えたところで、すでに全力を持って迎撃せねばならない局面に押し込まれることになる。これより少ない兵力で迎撃に出たとすれば、これは単なる『所要量に満たない兵力の逐次投入』でしかなく、戦術としての意味をなさない。
また、戦史にも機動式縦深に似た戦術を採用して完全な失敗に陥った例があるらしく、『バーミリオン会戦』は、実際にはもう少し異なる形態で戦われた戦闘であるとしたい。
2008/03/16(日) ウィキペディアの『銀河英雄伝説の戦役』のアスターテ会戦ネタばれのところ、「現実にはこの会戦にランチェスターの第2法則をあてはめると、第4/第6の2艦隊を全滅させた時点でラインハルト艦隊は第2艦隊より劣勢になっているはずであり、理論的にはラインハルト艦隊の勝利は有り得ない。」とある。「優勢な方の兵力」の二乗から「劣勢な側の兵力」の二乗を差し引き、そのルートを取ると、「劣勢な側が全滅した後に、優勢な側に残存した兵力」を算出できるという。
ワシントン軍縮条約、ロンドン軍縮条約で日本海軍が対米7割の兵力に固執したのは、ランチェスター法則に鑑みると、10対7で、実際の戦闘時の戦力比が100対49となり、ほぼ2対1となることに由来すると言われる。2対1の差なら、艦艇の性能差、兵隊の練度、作戦の巧緻さなどで何とかカバーできる。これが5対3となった場合、戦力比は25対9で、ほぼ3倍の差に開き、埋めようのない差になる……そう、旧日本海軍の首脳は考えたのだという。
昭和16年12月の時点で、日米両海軍の戦力は実際にほぼ10対7だったというが、結果は1945年8月に見られるとおりとなり、旧日本海軍首脳の見積もりは何の妥当性もなかったことが証明されている。ランチェスター法則は、戦闘に参加する艦艇と飛行機の数ではなくて、艦艇や飛行機を製造する国力の差に適用されてしまっていた。
これは、ランチェスター法則が絶対の真理でないことを端的に示している例として挙げた。さらに、ウィキペディアの記述の方が現実に即していないと思われる部分を指摘してみる。ランチェスター法則自体、両者が同条件で戦闘に入ることを前提にしている。アスターテ会戦のように、同盟軍が逆に奇襲攻撃を受けてしまったような場合は想定されていない。また、実際の戦闘は兵力3割の喪失で壊滅的打撃、5割の打撃で全滅的打撃を蒙って、軍隊は軍隊としての組織的抵抗力を喪失することになる。つまり、劣勢側が総崩れになり、掃討戦の段階に入ってしまうことを意味する。もう一つ、アスターテ会戦とそっくりな戦いは、ナポレオンがイタリア・ガルダ河畔で戦っており、ナポレオンは合計で2倍の兵力を擁する敵3部隊の内、2部隊に壊滅的打撃を与え、他の1部隊を退却させている。現実に、アスターテと同様に戦い、勝利を得た戦例が存在することになる。
アスターテでのラインハルトの勝利は、同盟軍が兵力を三分したことであり、これについての考察とある意味のこじつけ(同盟軍が兵力を分散させたからラインハルトは、その包囲網に頭を突っ込んだのだ、とする)は、猫自身が『アスターテ会戦の戦略的分析』で述べてみている。
以上、ちょっと気になったので。
2008/03/09(日) データベースつながりでMS-Accessを使う。フロントエンドは最初からEXCELに決まっているので、何も心配していない。物理年度と予算年度の違いをSQL文で吸収させるのにちょっと手こずったが、やってみると完全に汎用的なものができたのはラッキーというべき。例によって、20行以上のSQL文で、ちょっと見には何をやってるのか、まるでジュゲムジュゲムみたいな代物になったが、どうせEXCELのマクロに組み込んでしまえば誰も見やしないはずなので気にしない。
データの二重登録を一意索引で弾こうとしたところで蹴躓いた。異様に遅いのだ。Hiresモジュールを使って応答時間を調べてみると、1件100msを超えている。投入データは1回に5万件弱に達するわけで、投入完了に1時間半かかることになるので冗談ではない。推測だが、どうやら、MS-Accessはステートメント・リカバリがかなり遅いらしい。あくまで推測で、ちゃんとした性能測定をしたわけではないが。ならばステートメント・リカバリを起こさないような処理に変えれば良いことになる。やってみる、1回目大失敗。確かに、その処理じゃ、例外にひっかからないから、データが入らないままに処理が抜けてしまう。もう一度、今度はパラメタの数が少なすぎると宣う。わけが分からず、しばらく考え込んだが、これもMS-Access特有のエラーであることに気づく。3回目で成功。1データの応答時間は3msに短縮する。平均33倍の高速化ということは、200秒(4分弱)も待てば5万件のデータを無事に飲み込んでくれることになる。CPU空いているから並列投入ができるともっとめでたいかも。
MS-Access、なかなかやってくれる。昔、100万件ばかりデータを放り込んで処理させたこともあるので、データの量的には何も心配していなかった。性能的にも期待以上ということがこれで分かった。
以上、覚え書きとして。
日曜午後、昨夜というか今朝というか、ちょっとシノプシスを考える。なかなか進まない。適当なところで止める。ある程度、骨組みをしておけば、通勤の途中にでもアイデアが浮かぶかも知れないと期待。最近、物忘れ酷く、アイデアが浮かんでも翌朝には忘れているので、困ったものだが。
2008/03/09(日) ふと気づけばすでに3月に入っている。5月のSCCに何か出すとして、使用可能な週は今週末を合わせて精々7週しかなく、1週末10ページでの執筆量を仮に確保できるとしても60ページ程度の中編1本を何とかするのが限界の日数しか残っていない。今回は、この時点まで何の構想も無く、すべてがまだ妄想レベルという状態なので、構想まで持っていくのに今週ともう1週位を要するとして、既に危機的状況ということになる。まったく長編書きというのは因果なもので、こんな苦労するくらいなら書かなければいいのだ。夕食のアルコールも抜き、夜も午前3時にもなろうというのに、ああでもないこうでもないと秀丸エディタにメモを書き連ねているのもバカみたいな話である。
取り敢えず、『木漏れ日と遠き日』に繋るシーンから書き起こし、その間に短編を連ねて、アンネローゼとヒルダが同じ地上車中で交わす雑談でこれら短編をつないでいくという構成にしようかというところで、大方針を決める。エピソードとしては、各10〜15ページレベルで4本程度は必要だが、シノプシスを概ね決められたのは1本だけで、他の3本はまだ妄想段階を抜けることができていない。日記書いている場合ではないかも知れないが、これ以上起きているのもどうかと思うので、今週末の作業は一旦、これで切ることにする。まあ、気分が乗ってきて、シノプシスが作れそうなら日曜の午後にでも少し時間を取ってみようと思う。
IE7廃棄の経緯は簡単なことで、我が家のDVD/HDDレコーダにLAN経由接続ができなくなってしまったということ。どうしてもパスワードが通らず、思い当たる節がIE7のVupのみだったので、試しにアンインストールした。見事にログインできるようになり、我が家ではIE7は使えないとの結論になる。
銀英伝のDVDを借りてきてみる。勢いを着けるには一つの手段かも知れないと思って。以前見た『奪還者』。全然覚えていなかった設定に驚く。ナンだと、それじゃ、『落日の弔歌』でのヴィンフリートくんの暗躍は最初から無意味だったことになるのでは……と。まあ、しかし、そんなことは無視してしまえばいいことなので。設定を無視してしまうと言う意味ではなくて、そうだとしても実際に権力を把握してしまえば、とやかく言われても無視できるという意味だが。
ちなみにこのストーリに登場するヘルクスハイマー伯爵令嬢マルガレーテ。帝国暦484年1月に10歳で、ラインハルトたちとは6歳違い。ラインハルトが神々の黄昏作戦を敢行した歳には17歳になっていたはず。自由惑星同盟に亡命してからのエピソード、できれば何かの機会に書いてみたい気分(妄想前の妄想段階)。