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有角犬の夢
Ein Traum von Horn Kppf Hund
山荘の有角犬
Hornkopfhund im Bergretreat
温泉と有角犬
Heisse Quelle und Hornkopfhund
婚約者たちの明日
Morgen der Verlobten

発行:2018年12月29日
コミックマーケット95
頒価:500円
挿絵:藤方萌実様
発行:2019年8月10日
コミックマーケット96
頒価:700円
発行:2019年12月28日
コミックマーケット97
頒価:800円
挿絵:藤方萌実様
発行:2022年 8月13日
コミックマーケット100
頒価:900円
『黎明編』のカストロプ動乱と『策謀編』のアウグスト二世の下りの二度、原作で有角犬<ホーンヘッド>が登場する。カストロプ動乱では、単に財務省から派遣された徴税官にマクシミリアンが有角犬をけしかけて追い払う程度のシーンだったが、アウグスト二世のところでは明確に食人の性癖を持つ猛獣として描かれている。
『黎明編』で、この獣が人間のDNA操作によって生み出されたと書かれているが、ふと、大帝ルドルフの『遺伝子への盲信』と、有角犬を生み出したDNA操作技術とがどう折り合っていたのか、という疑問である。
ルドルフは明らかに、『現時点においての支配層・富裕層は優秀な遺伝子のしからしむるところであり、その優秀さは今後も継承され、不変である』と信じていたと思われる。その一方で、DNA操作はそうした『不変』であるべき遺伝子を改編し、優秀でなかったものを優秀に変えてしまう可能性を孕んだ技術である。
こうしたことを考えている内にできあがったのが今回の物語である。ラインハルトとキルヒアイスの幼年学校時代を描いてみたいとの思いもあって、猫屋版銀英伝本編で『落日編』の時代まで進んでしまった時計を、二人が十五才の時代にまで巻き戻してみた。

構成
後のエルウィン・ヨーゼフ二世は、原作黎明編、第十章によれば、『五歳の皇孫エルウィン・ヨーゼフが、時代の皇帝となったからである』だった。ちなみに、この時、帝国暦487年。
一方、彼の父ルードヴィヒについては、同じく原作外伝T、第二章では『皇太子ルードヴィヒの死後、男児をもうけるためとの名分が立ち、宮内省の職員たちは彼らの職場を文字通り駆け回った……こうして帝国暦四七七年のある日、宮内省の職員の一人が、裏町の一角でアンネローゼ・フォン・ミューゼルという一五歳の少女を発見したのである』。

当初、書き出しはこうするつもりだった。

『ある日、起きてみると、シュヴァルツが下宿の前に座っていた』

いや、まだラインハルトたちはリンベルグ・シュトラーセの下宿には移っていない。この書き出しができるのは、まだ先のことだろう。

構成
  • プロロー
  • 従卒任務
  • 作戦開始
  • 強襲
  • 山荘
  • シュヴァルツの事情
結局、何が書きたかったかと言えば、『温泉』です。ラインハルトとキルヒアイスを温泉に行かせて、露天風呂に入れる、ただそれだけのモチーフで始まったのが、この一冊です。それ以外のすべてのエピソードは、彼らを温泉に行かせて露天風呂に入れるための準備作業であり、後始末です……というのは言い過ぎで、ルドルフのある信念に対してもの申す、ということを考えたわけです。残念ながら、思ったようには話が展開せず、なんだかいろいろとハプニングが起こる中で話が閉じてしまった……ンじゃないかと反省しきりなところもあります。
なぜ、温泉だったのかと言えば、2019年の夏と秋に、自分が実際に温泉にでかけたからという単純な理由です。もともと『有角犬の夢』が生まれたきっかけも、温泉地への小旅行で道に迷い、ラインハルトたちのような危うい目に遭った(崖から落ちそうになったわけではありませんが)のがきっかけです。フロイデン山麓が舞台となるのもそういうわけです。
……と、全然話の中身は紹介していません。

構成

Twitterでのある方の呟きをヒントに、それって、どんな出会いだろう……と、中間段階を省略すると結論的には、『士官学校時代、どっかの貴族の、こういう「よくしゃべる明るく朗らかな」お嬢さんに見初められ、そのまま口説き落とされる』というシチュエーションが宜しかろう、となりました。
では、その「よくしゃべる明るく朗らかな」お嬢さんはどこにいる……そういえば、以前『星の翼』でヒルダが在学していたことにしたお嬢様学校『晴眼帝記念女学院』ってのがあったよね、そこの在校生で宜しいのではありませんかとなり、さらに、士官学校とお嬢様学校、きっと出会いのためのイベントがあるでしょう。クリスマス・イブに舞踏会というのが中々それらしくて宜しい……いや、そういう優雅なイベントについては知識も経験もないので、自ら墓穴を掘るようなことになるのではないかと危惧しつつも、他に選択肢なしということで、その道を行くことになりました。
ただし、舞台回し役としてゲルタ(コルネリア・ゲルトルーデ・フォン・シュミットバウアー)を登場させたので、単純に出会いからラブコメ、そしてプロポーズという平坦なストーリーからかけ離れた乱闘騒ぎになった挙げ句の……となりました。

構成
  • プロローグ
  • 入学
  • クリスマス・イブの舞踏会
  • 凶報
  • 来訪者
  • クリスマス・イブの舞踏会、再び
  • 襲撃
  • 終幕
  • エピローグ

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