WikiPediaを参照すると、ディナールとフェザーンマルクの交換レートが約1対6.6であるとの記述があった。フェザーンへ赴くユリアンに、ヤンが半年分の収入相当の預金の入ったカードを渡す場面が原作にはある。OAVでは、ヤンが何かの機会に年収15万ディナールである旨を話しているという。同じくOAVで、ユリアンがヤンからもらったカードの金額を通帳だかなんだかで確認していて、これが50万フェザーンマルクであるらしい。つまり、ヤン提督の半年分の収入7.5万ディナールは50万フェザーンマルク相当であり、その交換レートは1対6.66.. という計算になる。一方、フェザーンマルクと帝国マルクの交換レートは不明なので、帝国マルクとディナールのレートを算定する根拠は、原作・OAVとも与えてはくれない。(OAVは、どうも設定が信じ切れない部分がいっぱいあるような気がするけれどねぇ〜)。 また、同じようなテーマを書いておられる方が、この三国の国力比48:40:12という数字を許に議論されている。人口比は250:130:20であることから、人口1億あたりの、国力相対値を計算すると、0.192:0.308:0.600である。人口あたりの国力、つまり生産性(と一括りで言ってみる)の比較をすると、同盟は帝国のそれの1.5倍増しである。さらに、フェザーンは同盟の倍。フェザーンは帝国の実に三倍以上の生産性を誇る社会と言うことになる。奴隷制度や貴族制度により、生産性向上への動機付けが低い帝国が、同盟にくらべてかなり効率の悪い国家であることが原作の数字でもそれとなく示されているのだろう。 生産性≠交換レートではないので(要するには単位の問題なので)、だからといって帝国マルクとディナールの交換レートが3対2だというつもりはない。ただし、通貨の実質価値の比率がその程度になるというのはあるだろう。と言うあたり、数字のお遊びではあるけれど、同人誌の勝手な設定としては使えるかも知れない 一方、フェザーンは帝国の属領である以上、帝国マルクとフェザーンマルクの交換レートは勅命で固定相場制が取られているとすればどうだろう。たとえば、帝国マルク:フェザーン⇒1対10とか。これだと、間接的に帝国マルク:ディナール⇒0.66対1ということになる。ところが、実態レートとしては、両国の生産性の差を反映して帝国マルク:ディナール⇒1.5対1程度であったとする。ところが、これだと地下経済をふくらませる結果になるので、本当のところは帝国マルクとフェザーンマルクは変動相場制に近い形になっているだろうと思う。 地下経済がふくらむというのは……1対10の固定相場制のもとで、同盟で100ディナールの商品を、正直に帝国に転売すると、結果は66帝国マルク(660フェザーンマルク)になる。ところが、ブラックマーケットを経由して、100ディナールの商品を直接帝国に転売(密輸)すると150帝国マルクとなり、この帝国マルクを帝国の銀行でフェザーンマルクに交換すると1500フェザーンマルクとなる。倍以上の儲けになるわけで、利に聡いフェザーン商人は雪崩を打ってブラックマーケットに入り込み、正規の市場は縮小してしまうに違いない。 また、正規のルートを経由したとしても、帝国側は、本来150帝国マルク相当の同盟製商品を66帝国マルクで入手可能となる。とすれば、帝国の市場は割安な同盟製商品を争って求めるようになってしまい、帝国サイドの競業産業は崩壊してしまう。敵国同士なので、そんなことがあるものかとも言えるが、戦争は政治に制御され、政治が経済によって動くという歴史の原則を鑑みれば、気がつけば皇帝の日用品も同盟製ということもあり得ないではない。結局は勅命による交換レートなど有名無実となり、両国の経済力を素直に(あるいはフェザーンの思惑を素直に)反映した変動相場制という結果に落ち着くと思える。 で、まあ、1帝国マルクが概ね現代の日本円の100円相当として、ディナールとの通貨価値比が2対3なら、ヤン提督の年俸は約2250万円ほどと言うことになる。税金やら年金やら、何やらで差し引かれて、手取りはせいぜいその半分に毛が生えた程度だろう。自衛隊の海将クラスの人の年俸は、もっと少ないようだ。ただし、軍人だから、危険手当だの赴任手当だのと色々付くには違いない。 しかし、大将閣下でこの年俸、なんだかずいぶん安いような気がする。まさに『戦艦1隻、年金何年分……』である。1隻5億帝国マルク≒3.3億ディナールとすれば、1隻で年俸2000年分〜か。で、ユリアンの買ったフェザーン製セーターは、90フェザーンマルク……2000円ほどでしょうか。 以上、銀英伝でのお金の話。 |