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一. アイランズ国防委員長


だが、このままなすすべなく勝ち目の薄い戦いを唯一の選択肢として選ばされるのよりも、同盟がなお長らえ、かつての力を取り戻す可能性は見いだせると私は考える。私は政治家として才能のある身ではないし、自分をアーレ・ハイネセンになぞらえるなど、僭越の極みであることを知っている。しかし、三〇〇年余り前にアルタイルを脱出した時、ハイネセンにも確たる可能性が見えていたわけではないのだろうと私は思う。だが、ハイネセンはほんの少しの可能性に賭けて、そのまま奴隷としての生命をながらえる選択を捨てたのだ。だからこそ、今はこの国を生き延びさせるために、ほんの僅かの可能性でも追ってみる意味があると私は信じる。できることは何でもやるべきだし、私はそのために全身全霊を尽くすつもりだ。協力をしてはもらえまいか?
2010年11月13日夜、アイランズ氏が私の所へ来て、語ってくれました。彼が50年の惰眠から目覚め、半年の覚醒で後世にその名を残した、その経緯を語ってくれたとしか思えません、どうして、この文章が書けたのか。一夜明けた後では最早思い出せないのです。アイランズ氏がそこにいたのだとおもうしかありません。 銀英伝の二次創作小説を書いていて、たまにこういうことが起こるのです。誰かが物語を語ってくれて、それをなぞっていくという状況が、本当に希にですが起こります。何となく、原作でのアイランズ氏の無念を想い、目頭が熱くなるような想いを味わいました。それが実在しない人物と分かっていて、なお――

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