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三. イゼルローン要塞と駐留艦隊用宇宙港、およびその補給能力・持久能力(続)

さらにイゼルローン要塞の民間人居住区画だが、表面二〇キロ以下の区画、仮に直径一九・五キロの区画を考えても、四七〇〇平方キロ(天井までの高さ五〇〇メートル)の空間を確保できる。天井までの高さ五〇〇メートルが必要ではなく、仮に一〇〇メートル単位で考えてみると、さらに一五キロの地点までで約一六万平方キロ(日本の4割強)の面積が確保される。各種の循環装置や森林、農園などを考えても数百万の民間人人口の居住にはまず十分だろう。

中心から一五キロ以下が動力炉と各種物資倉庫と考えると、一万一四〇〇立方キロ。単純に水を貯めれば一一兆トンになる、動力炉がその三分の二を占めるとしても、四〇〇〇立方キロ近い容量を確保でき、水だけでも四兆トン分の容積がある。例えば、以前に一個艦隊一〇〇日分の行動に必要な食糧が約五〇〇万トンであり、体積にして一辺一〇〇メートルの立方体であるとの説を立てた。確かに一立方キロの水の重さは一〇億トンであり、これだけの食料が用意されれば、膨大な兵力を動員可能なのである。

『責任なき戦場インパール(太平洋戦争・日本の敗因(NHK取材班)』によれば、一九四四年当時の日本軍一万人の一日あたりの所要消耗品量は約六五トンとなっている。この内、食料は二〇トンだが、当時の日本軍が将兵の食料を極度に過少に見積もっていたことに鑑みれば、本来必要な食料の日量をその一〇倍と考えるのは妥当だろう。すると二〇〇トンである。一個艦隊約一五〇万人とすれば、三万トン。一〇〇日分は三〇〇万トンとなる。五〇〇万トンという数字は、食料の梱包材も考えていたのでまずは妥当と言える数字ではないかと思う。(二〇〇万トン分の梱包材がそのままゴミになる……と考えるとちょっとぞっとします)。

同じ参考文献によれば、弾薬は日量四五トン毎一万人だが、この当時すでに世界的に見て三流以下の陸軍でしかなかった日本軍であることを考え、かつ未来社会での宇宙戦闘が必要な宇宙艦隊であることを考えれば、この一〇〇〇倍は用意が必要だろう。四万五〇〇〇トン毎一万人。兵員数一五〇万人の宇宙艦隊一個で、日量六七五万トン。一〇〇日で六億五七〇〇万トンである。かりに弾薬その他の、食料以外の戦闘資材の比重が水と同じとしても、一立方キロに収まってしまう。比重が大きくなればなるほど、収容に要する容積が小さくなることに注意すべきとなる。(まあ、こうした数字はあくまで仮定の上に過程を載せた架空の数字でしかないけれども)。

何を言いたいかと言えば、水四兆トンの積載能力は、食料、各種原材料を備蓄するとして、まずは数年は補給なしで戦えるだけのものを確保できるのではないかと思われるということである。直径六〇キロの完全人工天体は確かに巨大な宇宙での策源たり得ることが、これで分かるような気がする。

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